「最近、父が足がジンジンって痺れるっていうのよね。職場の検診で糖尿病に注意しましょうって言われていたし、大丈夫かなぁ。しんぱい。」
HANA
TAO
「痺れは、片足だけ?それとも両足? ちょうど靴下を履いたように両足の痺れの場合は糖尿病性のニューロパチーの可能性もあるから、便秘や下痢したり、勃起障害とかないかな?」
糖尿病性ニューロパチーってどんな障害?
3代合併症の中でも、最も頻度が高く、最も早期から起こる合併症の一つで、手足の抹消に痛みを伴うこともある、痺れを主とする障害です。
ニューロパチー:末しょう神経障害とは・・・。
脊髄から遠い神経のしびれや痛み、筋力低下などを飲症状を引き起こす病気の総称
最も頻度が高く、最も早期から起こることで、いち早く身体の異常を伝えてくれているのです。
糖尿病は初期症状が出にくいため、かなり進行してから気づくことが多いとされています。
その中でも、誰にでも起こる可能性が高く、しかも比較的早期から症状が出るため、この時点で「糖尿病」を疑うことができれば、進行を遅らせることや治療により治せる可能性が高くなります。
症状の特徴をしっかり把握して、遺伝的素因がある方など疑わしい方は気にしておくとよいでしょう。
ニューロパチーの原因はまだわかっていない
糖尿病性ニューロパチーが起こる原因はまだはっきりとは解明されていません。
高血糖の状態が続き、障害を起こす原因となる物質(ソルビトールなどが一因と考えられれいる)が神経細胞に蓄積した結果、起こるとされています。
高血糖により毛細血管の血流が低下して、神経細胞へ必要な酸素や栄養が送ることができなくなり起こるという説もあります。
それ以外の説もあるのですが、決定的なものはまだ報告されていません。
特徴的な症状
痛みやしびれなどの自覚症状が出現します。
特に初期は、主に足趾(足の指)や足の裏に 「ピリピリ」「ジンジン」といった、痛みと痺れが混じったような感覚が起こります。
しかも初期には、手の指には症状が出ないことが多いのが特徴です。
進行すると、徐々に中枢に広がりを見せ、抹消部の感覚が鈍くなってきます。これは、神経の働きが低下するため、痛みや痺れ感よりも、感覚自体の低下に変化してきます。
同様に足の痺れを主とするヘルニアとの違いは、左右対称性であることです(多発性ニューロパチー)。
中には手足の神経がばらばらに侵される、虚血性ニューロパチーもあります。これは手足の小血管の動脈硬化により低栄養状態となって出現します。
また糖尿病の場合は、感覚障害に加え、自律神経症状である発汗障害、膀胱障害、食欲不振、吐き気、腹部不快感、便秘と下痢、めまい、立ち眩み、男性の場合勃起機能の低下なども高い頻度で出現します。
病気が進行すると、筋肉の萎縮や筋力低下も見られるようになります。
そのため、足に怪我をしても気づかなかったり、靴下に血が付いていて初めて怪我していることに気づいたり、することもあります。
ここまでひどくなると、怪我した部分が細菌に感染してしまい、細胞の壊死がおこり、ひどくなると切断しなければならなくなることもあります。
症状と出現度
痛みやしびれなどの自覚症状あり | 自覚症状なし | |
---|---|---|
割合 | 約15% | 約30~40% |
他のニューロパチー
栄養欠乏性ニューロパチー
ビタミンB1・B2・B6・B12・E、葉酸、ニコチン酸などの欠乏により起こるビタミンB1欠乏、いわゆる「脚気(かっけ)」が代表的で、炭水化物過多の偏食による病気です。手足の痺れと力が入りにくく、急速に進行し数日間で歩けなくなる場合があります。治療はビタミン剤での治療になります。
アルコール性ニューロパチー
多量の飲酒を長期間続けた場合、吸収不良や偏食によって引き起こす栄養欠乏症状の一つ。シャルコー・マリー・トゥース病
遺伝性のニューロパチーで、手や足先の動きの拙劣さや筋委縮、感覚の低下が主症状です。治療法について
糖尿病性ニューロパチーは糖尿病の合併症です。
そのため、治療は糖尿病の治療になります。食事、お薬、運動で血糖をコントロールすることが治療の原則です。
薬を使って、痛みやしびれを和らげる治療はその後になります。
痛み止めとかで症状をごまかして、糖尿病が進行してしまうことにならないように注意が必要です。
糖尿病性ニューロパチーの代謝性の場合の治療薬として「アルドース還元酵素阻害薬」が用いられることがあります。神経に蓄積する物質を作る酵素(アルドース還元酵素)の働きを抑える作用があります。
虚血性の場合は、血行の改善が重要ですが、症状によっては治療が難しい場合があります。
この「糖尿病性ニューロパチーの症状を知って早めの対応を」が足の痺れに不安を持っている方の役に立つことを願っています。
POINT
・糖尿病性ニューロパチーの症状について
・特徴的な症状を知って危険信号をきちんとキャッチしましょう
・治療法は糖尿病の治療です。
・糖尿病性ニューロパチーの症状について
・特徴的な症状を知って危険信号をきちんとキャッチしましょう
・治療法は糖尿病の治療です。