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06. 🕺 運動・生活
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運動は、食事によって取り込んだ糖質や体内で過剰となって蓄えられた脂質をエネルギーとして消費(代謝)します。
特に、食事後は食事に含まれる糖質を取り込むため血糖値が高く(食後高血糖)になります。
この食後高血糖は、血管内皮(血管の内側の被膜)に影響を与えて動脈硬化の進展しリスクへとつながります。
運動療法では、この食後の血糖上昇を抑制して血糖値の日内変動(1日を通して血糖値が上がったり下がったりする変動幅)を少なくすることが重要なポイントですね。
運動をすると血糖値が降下(急性効果)するが、これは筋肉がインスリン(血糖を下げる体内唯一のホルモン)を必要とせずに糖を取り込むこと(インスリン非依存的糖取り込み)が関与していると考えられています。
つまり、筋を収縮させる(筋肉を使う)ことにより筋のAMPキナーゼ(※1)が活性化し、糖輸送担体(Glucose transporter 4:GLUT4)が筋細胞膜へトランスロケーション(輸送)されて糖取り込みが促進されます。
※1: AMPK:酵素の一種で、活性化することでインスリンと同等くらい強力に糖や脂肪を効率よく燃やすことができます。余談ですが、日本の藤井宜晴・首都大学東京教授が世界で初めて発見し、数年前に話題になりました。最近また注目されていますのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。)
このメカニズムは、インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)が強い状態であっても正常に機能するとともにインスリン作用との加算効果が認められることが特徴です。
具体的には、運動(筋収縮を繰り返す)筋に取り込まれたブドウ糖はATP再合成に利用されるため、糖尿病患者が食後血糖値の上昇する時間帯に合わせて20~30分間持久運動を行うと、運動しない場合より血糖上昇の程度が小さくなります。
インスリン抵抗性の改善は、糖尿病だけでなくメタボ(メタボリックシンドローム)、高血圧、脂質異常症等の生活習慣病の予防と改善につながります。