運動禁忌と運動注意
運動をすることはとても良いことなのですが、病気の状態によっては運動する事で逆に病気の状態を悪化させたり、別の問題が生じる場合があります。正しく行えば有効な治療法となりますが、誤った方法で行うと効果が不十分であったり、逆に症状が悪化したり、膝や腰を痛めたりする恐れがあります。
そういった意味では、薬にもなるし、毒にもなりかねないので、運動療法が効果があったと言う人もいればそうでないと言う人もいたりで、運動は必要だとは知っていても恐くなったりしているのかもしれませんね。
そこで、自身の病状をしっかり把握しておくことが必要となります。合併症や併発症などもしっかり把握したうえで、運動に伴うリスク(危険)を避け、自身に合った運動療法を行いましょう。
今回は、「運動禁忌と運動注意」について考えていきます。
では、糖尿病の患者さんの場合、運動に伴うリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
次に、運動を禁止した方がよい場合(運動療法の絶対的禁忌)があります。
特に、糖尿病の診断をされた方で
①代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値が250mg/dL以上または尿ケトン体中等度以上陽性)の場合
②1型糖尿病でケトーシスの場合
③眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖・増殖前網膜症の場合
③-1レーザー光凝固後3~6か月以内の網膜症の場合
④進行した腎症(第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)の場合
⑤重度の自律神経障害の合併症がある場合
⑥重篤な心血管系障害(心筋梗塞など)がある場合
⑦急性感染症を発症している場合
は、運動療法は行ってはいけません。
また、運動療法を行う場合注意が必要な方としては
①高度の肥満の方
②普段運動不足の方
③単純網膜症がある場合
④重症の高血圧(収縮期血圧180mmHg以上∪拡張期血圧110mmHg以上)がある場合
⑤整形外科的問題(特に肥満者や高齢者で骨・関節疾患等)がある場合
⑥糖尿病壊疽がある場合
は、必要に応じて各専門医の意見を求め、病状に応じた運動の処方があったうえで、初めから無理をせず、軽い運動から始める事が重要です。